In Stars And Time
https://youtu.be/Glec7uzohbg
table:
リリース 2023.11.23
プレイ時間 31.1時間
一見オーソドックスなファンタジー的JRPGの世界において、ラストダンジョンを控えた最後の2日間をループしながら、そのループから抜け出す手段を探すRPG。
自分のクリアまでのプレイ時間は30時間強で、率直に言ってちょっと長かった。ループ自体はバトルで死んだりラスボスの王を倒した後で強制的にリセットされる以外に、自分の任意のタイミングでもできるものではあるのだけど、それでもループ回数にしても90回くらいループして基本的に同じダンジョンを進むのを繰り返すので、途中から結構本気で苦痛に感じるようになっていき、バトルを2,3回こなすだけで急激に眠くなって実際寝たりしてしまったほど。
ただ、そのプレイしている自分自身の疲弊や苦痛は、ゲーム内で同様に同じマップを歩かされ、やることなすことどんどん作業的になっていくという主人公シフランのそれと密接にリンクしていて、どうせ同じ会話だからとすっ飛ばしたり、イベントをショートカットしようとした際に、少し諫めるようなツッコミが心の声だったり他のキャラとのやりとりの中で差し込まれてきて、その度にハッとさせられるようになっているのはよく出来ているなと思う。
なのでループが前提であるならもっとざくざくショートカットして快適に回せるようにしてくれよっていう面と、このめんどくささを捨てたらこのゲームは成り立たないのではっていう面もあって、簡単にこうしたらもっとよくなるのにという事が言いにくい。
こういうメタ的な仕組み自体は今時目新しいデザインでもないのだと思うけど、このゲームにおいてそれがとても有効に、指摘されていることについてリアルに感じられるのは、会話テキストのクオリティの高さとこなれた翻訳によるところがとても大きい。
一緒にダンジョンを進むパーティーの仲間たちは年齢も幅広く、キャラによってはクィア性が強調されていたりして、それぞれ個性的でかわらしいのだけど、かれらの会話がとても生き生きしているのがこのゲームの本質的な良さなんではないか。
特にゲームを進めていくうちに発生する、それぞれのキャラクターの背景が明らかになるサブイベントはどれもエモーショナルで、中でも個人的には、アセクシュアルで他人と性的な交わりを忌避しながら、物語上の職業的か宗教的な役割として受け入れなければならない成長するための変化の一つとしてそうした交わりもいなければいけないのではないかというアンビバレンツさの中で思い悩む某キャラのストーリーがとてもよかった。
またグラフィックやデザインやサウンドもそれらの興を削がないクオリティだったのも嬉しい。
長いし2回やって同じ体験ができるタイプの作品でもないので、2周目とかはやらないけどやってよかったゲーム。